やっと理解できたアルキメデスの原理
最近、体積測定の必要が生じてきたので、それに関して、調べてみました。体積測定には、アルキメデスの原理による水中重量を用いる方法やウォータープレチスモグラフィーという方法があります。過去、無侵襲血流計測の研究で絡んだことがあるウォータープレチスモグラフィーにおいて、被測定体が押しのけた水量、すなわち、排水量が、被測定体の体積を示すということは、感覚的に簡単に理解できます。俗世間では、これをアルキメデスの原理と勘違いしているようです。しかし、アルキメデスの原理による水中重量を用いる体積測定は、どうでしょう。
ここで、以下、1グラム/立方センチメートルの標準状態の水として論じます。この体積測定は、計りに水を入れた測定容器を乗せたときの重量とその測定容器に被測定体を測定容器に触れないように、極細の吊糸に接続して、完全に水没させたときの重量の差が、被測定体の体積になるというものです。この測定方法は、単純に、被測定体を入れた容器の重量は、被測定体が、水中に浮いているのだから、変わらないという感覚になり、従来の浮力を絡めた力学的説明からは、直ぐに理解できません。しかし、実際には、その測定容器の重量は、増加します。この増加分をどのように理解するのかが、苦しむところです。
そこで、考えたのは、水でできたサイコロを測定容器に入れたときの状態です。以下、各サイコロは、同体積として論じます。そのサイコロは、完全に測定容器の水面に水没し、浮いた状態になります。この状態は、サイコロの体積分の水を注いだときと同じ状態であり、当然、注いだ水の重量分、測定容器の重量は、増加します。ここで、水より比重が小さい空気でできたサイコロを仮定します。そのサイコロを、上から押さえつけて、完全に水没させます。このとき、測定容器の水は、そのサイコロが押しのけた分、増加したようになります。逆に、水より比重が大きい物質のサイコロを吊糸に接続して、完全に水没させたときの測定容器の水も、前記と同じように、増加したようになります。これにより、測定容器の水を同容量押しのける物質の種類は、関係ないということが理解できます。
以上より、被測定体によって、押しのけられた測定容器の水量、すなわち、水でできたサイコロで、押しのけられた測定容器の水量が、被測定体の体積を示していることが、理解できます。被測定体の自重や上からの圧力や張力を用いて、被測定体を水没させ、その測定容器の重量を計量することで、被測定体の体積が測定できるとすることに、納得が行きます。